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微分幾何学 1: 多様体は近くで見ると平らな場所

  1. 1 微分幾何学 1: 多様体は近くで見ると平らな場所
  2. 2 微分幾何学 2: 接ベクトルと曲面のものさし
  3. 3 微分幾何学 3: 曲率は曲がり方を数字にする
  4. 4 微分幾何学 4: ガウスの驚異の定理を高校生向けに読む

微分幾何学は、曲がった図形を「その場その場で微分して調べる」数学です。

最初に必要なのは、多様体という考え方です。名前は重いですが、直感はかなり素朴です。

多様体とは、近くで見ると普通の数直線や平面のように見える場所です。

地球の表面を思い浮かべてください。地球全体は丸いですが、校庭くらいの範囲だけ見ればほとんど平らです。地図を描けます。東西と南北という 2 つの数字で場所を言えます。

この「全体では曲がっていても、近くでは座標で説明できる」という考え方が多様体です。

円周は 1 次元多様体

円周は輪になっています。数直線とは違い、ぐるっと一周して元に戻ります。

それでも、円周上の小さい範囲だけなら、角度 heta heta という 1 つの数字で場所を表せます。

円周は、近くで見ると 1 本の数直線に見える

円全体は輪ですが、十分に小さい範囲だけを見ると角度 θ という 1 つの数字で場所を指定できます。これが 1 次元多様体の最初の直感です。

ここで大事なのは、円周そのものが 2 次元平面の中に描かれていても、円周上を動く自由度は 1 つだけだという点です。

円周上の住人は、横にずれることはできません。前へ進むか、後ろへ戻るかだけです。だから円周は 1 次元多様体です。

球面は 2 次元多様体

球面は 3 次元空間の中にあります。でも、球面上を動くには「緯度方向」と「経度方向」の 2 つがあれば足ります。

つまり、球面は 2 次元多様体です。

球面上のまっすぐな道は大円になる

地球儀の表面から離れずに進むと、平面の直線ではなく大円が自然な直線の役をします。測地線の直感です。

球面が 3 次元空間に入っているからといって、球面そのものが 3 次元とは限りません。

多様体の次元は、「その場所を指定するのに必要な数字の個数」です。

トーラスも 2 次元多様体

ドーナツの表面も 2 次元多様体です。

大きく一周する方向と、チューブを回る方向があります。2 つの角度で場所を指定できます。

トーラスには 2 つの独立した回る方向がある

ドーナツ面では、大きく回る方向と小さく回る方向があります。2 つの座標を持つ 2 次元多様体の例です。

球面とトーラスは、どちらも 2 次元多様体です。ただし全体のつながり方は違います。

球面には穴がありません。トーラスには穴があります。この違いは、局所的に見るだけではわかりません。

今日の最小限の式

平面上の点は、ふつう

(x,y)(x, y)

で表します。

球面上の点なら、たとえば角度を使って

(θ,ϕ)(\theta, \phi)

で表します。

このように、点に数字の組を割り当てる仕組みを座標と呼びます。

多様体では、全体を 1 つの座標で覆えないことがあります。地球儀を 1 枚の地図にすると、どこかが切れたり伸びたりするのと同じです。

だから多様体では、必要に応じて複数の地図を貼り合わせます。

まとめ

多様体は、近くで見ると数直線や平面のように見える場所です。

円周は 1 次元多様体です。球面とトーラスは 2 次元多様体です。

次回は、多様体の上で「その点から進める方向」を表す接ベクトルを見ます。

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